毎年子供たちが終業式で通知表を貰った直後の週末はサッカー少年団の夏合宿がスケジューリングされてまして、ボクも昨年まではチームお抱えの審判員として練習サポートとして同行させていただいておりました。
早くもそんな時期になったっつーことなんですが、昨年までと違うのは、今年はひとつの学年を受け持つ主幹コーチ(担当は3年生)として参加するという微妙な立場の違い。
ただ単に練習サポートのために帯同してた時は、何も考えず荷物運びをやったりボール拾いを買って出たり子供らのケアをしてりゃ良かったんですが、今年は指導をする立場として責任重大でプレッシャーが掛かります。
とは言うものの、こっちも楽しまなくちゃ長続きしませんので、過度なプレッシャーは自分に掛けることなく多少気楽に(かなりお気楽?)、でもそれなりに頭を使って事前に練習メニューなどは考えたりしつつ、二泊三日の夏合宿に参加して参りました。
ということで、今回から数回に渡りまして、サッカー少年団の夏合宿の様子などをお送りしたいと思います。これは多分にボクの記憶を補完する意味合いが高いため、いつも以上にどなたかの役になど全く立たない単なるボク自身のための備忘録と化す可能性が高いのですが、とりあえずやってみることに致します。
しばしお付き合いのほどを。
夏合宿初日の様子
一学期が終わり、夏休みに入った直後の週末に行われるのが夏合宿。ボクが主幹コーチとして所属するサッカー少年団では、そんな感じで夏の恒例行事となっています。
夏合宿は二泊三日もしくは三泊四日で日程が組まれることが多く、行き先はいつも同じ群馬県の片品村と決まっております。理由はおいおい判るのでここでは割愛。そんな夏合宿の、まずは初日の様子から記録しておきたいと思います。
ちなみに今回は7/22(金)〜7/24(日)の二泊三日コース。もちろん平日である金曜日は有給休暇を使って会社は休みました。数ヶ月前から会社のスケジュールに「夏合宿 休暇」と入れてありましたので、誰にも文句は言わせませんよ。
いつも練習している小学校には朝6時に集合。小さな身体の選手たちは大きな荷物を抱え、不安と期待を胸に眠たい目をこすりながら集合です。
持参した荷物を一箇所にまとめたら、まずは合宿に持って行く道具類の搬出を行います。
遠征試合にも持参するブルーシート・日よけになるタープ・折りたたみ式のベンチ・キャンプなどにも使える折りたたみ式テーブル・給水用の大きなジャグなどを数セットと各学年用の救急箱とAEDはもちろん、普段は校庭でしか使用しない練習用のコーンやマーカーや組立式のミニゴールなども合宿には持って行きます。結構な大荷物です。
また、事前に購入しておいた2Lペットボトルの水が6本入った箱を数箱とスポーツドリンクの2Lペットボトルの箱を数箱、それに大きめのクーラーボックスに入った板氷も持参します。普段の練習と違って、選手たちの飲み水やドリンクなどは一括してスタッフ側で用意して提供する事になります。
これらの荷物は全てチャーターした観光バスの座席下にある荷台に収納して運びます。バスが到着したら、大人が中心になって座席下の荷台に荷物を収納し、更に座席最後部に選手各自が持って来た大きめのバッグをバケツリレー方式にて運び入れます。
バスに乗車するのは選手である3年生から6年生の子供たち30名と代表・総監督・監督・各学年の主幹コーチ。中には仕事の都合で合宿途中に帰宅するコーチなどもいるのですが、その方たちは帰りの足にもなる自家用車での参加になります。
行きのバスは渋滞もせず順調に進みます。大宮バイパスから国道16号線・国道254号線を通って東松山ICより関越自動車道へ。途中トイレ休憩でPAに立ち寄りますが、大きなSAでないところがポイント。車の量が多いと不要な事故に巻き込まれかねませんし、何よりも帯同する大人たちが選手たちの動向に目を配れませんので、出来るだけ狭く小さなPAの方が何かと良いのです。
沼田ICを降りたら国道120号線を片品村方面へ。道の駅で2回目のトイレ休憩を経た後、あとはひたすらクネクネとしたアップダウンの多い道を進みます。
車酔いしやすい子供も何人かいますが、あらかじめ親御さんから言い渡されているようで、各自酔い止めの薬や飴を持参しています。それでも気を紛らわした方が良かろうと、総監督の指示の下、6年生のキャプテンがマイクを使ってクイズを出したりしながらバスは目的地を目指します。今年のキャプテンは饒舌で、なかなかのマイクパフォーマンスでした。去年のキャプテン(ウチの長男)に聞かせてやりたかったわ。
そんなこんなで、午前10時前には宿に到着しました。
今年もお世話になる宿がこちらになります。
冬場はスキー客などで賑わうこの地方ですが、夏場はもっぱらサッカーやら野球やらの少年団やクラブチームや中学の部活などの客で予約がいっぱいのようです。ボクがこちらに来るのも今年で3回目になります。
決してホテルのような豪勢な宿ではありません。月謝の高いクラブチームならば設備の揃ったホテルなどに宿泊するんでしょうが、スポーツ少年団如きはそこまで大それた合宿を組むワケには行きません。それは費用の問題があるからです。合宿とは言え泊りがけの旅行みたいなもんですから、どうしても各ご家庭に費用をご負担いただく事になります。なるべく安く済ませることが出来て、でもこちらの目的とする練習を行える施設となると自ずと選択肢が限られてきます。この宿は見た目は民宿みたいですが、ある点で他の宿よりも優れているのです。しかもお値段はリーズナブル。
宿に到着したら、選手たちは6年生の班長を筆頭に3〜4人の班に分かれて各部屋へと散らばります。荷物を置いて練習の準備を終えたら宿の前にすぐに集合。
背中に背負ったリュックには練習に必要な最低限の道具(ボール、すね当て、フェイスタオルなど)が入っているのみです。
この軽装にて、これから山を登って練習グラウンドへと向かいます。
宿には荷物運搬用の4WDワゴン車と送迎用マイクロバスがあるのですが、荷物と一部の大人以外は全員徒歩で山の中腹にあるグラウンドに行くことになります。高低差はだいたい150〜200m程度ですかね。それほど急な山道ではないものの、普段は平地しか歩いていないボクらには貴重な体験になります。最初はトウモロコシやカボチャの畑やハウス栽培のトマト畑の中を抜けていくのですが、途中からは鬱蒼と樹々が生い茂る森の中の山道を進みます。15分から20分くらい掛けて車一台がようやく通れるような未舗装の山道を歩いて登るのですが、グラウンドに到着する頃には少し息切れしています。ウォーミングアップにはちょうどイイのかも知れません。
山の中腹にあるグラウンドは宿が所有するサッカー専用のグラウンドになります。
大人用のピッチ1面分、小学生用のピッチなら2面は余裕で取れる広さです。いつもの小学校の校庭の約2倍の広さ。こんな立派なグラウンドを宿が所有してるので、毎年同じ宿にお世話になってるっつーワケです。
グラウンド奥にあるベースキャンプには、先行したワゴン車で運んだ練習用の道具類がたくさん積まれていますので、まずはこれらを降ろして、荷物を置いたり休憩するスペースを作ります。
その後に2日半お世話になるグラウンドに挨拶。
ここで声出しの練習をします。思いっきり大きな声で「よろしくお願いしまーすっ!」と叫んで山びこが帰って来たらOK。6年生の中には早くも声変わりしている選手もいるの辛そうでしたが、一人ずつ大きな声で挨拶をします。
山登りで身体は温まりましたが、今回の合宿は梅雨明け前になってしまったので、こちらの気温も例年より低め。曇り空の下で気温23℃という状況で、ピステを着ていないと肌寒さを感じるくらい。まずは二人一組で柔軟体操をして身体をほぐします。
その後の練習風景を写真に収める暇がなかったので手元にはないのですが、初日は班の結束力を高めるために、班毎にグラウンドの周りを軽くランニングした後、班対抗のリーグ戦を行うことに。3年生から6年生までが入り混じった班同士で10分間のゲームを繰り返し、勝ち点と得失点差で順位を決めます。
いきなりゲームから入る練習ってのはどうなのか?と思うかも知れませんが、これも選手たちを飽きさせないための仕掛けだったりします。ボールタッチやパスなどの基礎練習ばかりだと集中力が持たない選手もいるので、ゲームをやって課題を見つけ、その課題を克服するための練習をして、もう一度ゲームをやって改善度合いを見るという手法もあるそうです。
初日から参加できるお父さんコーチや審判は少ないので、ボクもまだまだ元気って事もあり、主審を務めたり副審で走り回ったりします。おいおい、この先大丈夫なんだろうな?
途中に昼食タイム(昼飯は宿が用意してくれた仕出し弁当)を挟んで総当たりのリーグ戦を何回かやりまして、その後は坂道を使った練習。この坂道を使った練習も恒例になってまして、監督などは「合宿に来たなぁ〜って感じがしてきたぞっ!」と喜んでました。
長友選手がインテルに作らせたような舗装された坂道がありまして、これを使います。坂道っていうと、ダッシュとかキツそうなイメージを持つかも知れませんが、ここで行う練習はボールタッチの練習。坂道の真ん中に約1m間隔でコーンを20本くらい置きまして、坂の上からボールをドリブルしながら下る練習になります。下り坂なのでボールはもちろん下へと転がろうとします。そこをドリブルするのですからボールは更に勢いを増して下へと転がろうとするのですが、なるべく多くボールにタッチしてボールの勢いを殺しながらコーンをジグザグに走り抜けるという高等技術を要する練習になります。もちろん下まで行ったらボールを抱えて上までダッシュして戻らなきゃなりません。結局ダッシュさせてるんじゃないか(笑)。足腰の鍛錬にはかなり効く練習ですな。
この練習を一人20本ずつくらいやって、本日の練習は終了です。あっという間に夕方になりました。
帰りももちろん徒歩で山を降ります。行きよりは多少は楽なんですが、練習の後なので選手たちの足も重たそう。
宿に戻ったら早速晩飯です。練習後30分以内に食事をした方がイイって知ってましたか?
部屋に荷物を置いて手を洗って食堂に集合した選手たちが、手分けして全員分のご飯をよそって準備をします。この合宿では子供も自分たちの事は自分でしなければならないのです。お母さんはいませんから。
この日のメニューは、
- 大きめのハンバーグ
- 大きめの唐揚げ3個とキャベツの千切りとトマト
- キュウリのマヨネーズあえ
- ご飯
- 味噌汁
- お新香
- ヨーグルト
といった感じ。
子供たちの好きなメニューが揃ってますが、普段の食事と比べて主菜も副菜もかなり量が多めです。2食分くらいあるんじゃないか?
というのも、実は今回の合宿のメインはこの量の多い食事だったりもします。
小学生年代の子供たちはちょうど急激に身体が成長する時期にありますので、とにもかくにもたくさんご飯を食べないと身体が丈夫になりません。山の登り降りや練習で消費したエネルギーを補うだけなら普通の量の食事でもいいんでしょうが、中学生・高校生に向けて少しでも身体を大きくするためにいつも以上に食べる習慣をつけさせる意図があるということです。パワーアップを図るためには普段から人より多めの食事を摂る必要があるのです。ジョッキーを養成する競馬学校の生徒たちには考えられない手法かも知れませんが、体重制限のない競技では身体が大きい方が何かと有利だったりもしますので、ここではとにかく沢山食べてもらうことになります。
総監督からは目安として、6年生はご飯お代わり3回(要するに4杯)以上、5年生は2回以上、3〜4年生もお代わり1回はしましょうという指示が出ています。合宿前にお家でもご飯をお代わりして練習しておきましょうねと、そういう宿題も事前に出てましたからね。出来るはずです。
唐揚げ3個でご飯1杯、ハンバーグは大きめなのでご飯2杯はいけるかな。ふりかけもありますので、それでもう1杯いけたらミッションクリアーになりますかね。ついでにお新香と味噌汁でもう1杯いっとくか?
なーんて軽口を叩いてますが、厄介なのはこれ以上成長する見込みのない我々大人たち。選手じゃないので量を食べる必要など微塵もないのですが、子供たちに「お代わりしろっ!」と言っている手前、情けない姿を見せるわけには参りません。いの一番に最初のご飯を食べ終えて、一番最初にお代わりをします。「おいおい、コーチがもう1杯食べ終わったのに、お前ら遅いな。ペチャクチャ喋りながら食べてるからじゃないか?早くしないとご飯がなくなっちゃうぞ?」みたいな感じですかね。これが大人たちの横への成長を大いに促すことになります。自業自得ですけれど。
食事の時間はだいたい30分が目安。一番お代わりした選手でご飯を計6杯も食べてました。すげーな、おい。
お代わりしない子はしません。しかもお代わりしないどころか、30分で食べ終わらない選手もいます。そもそも食が細い女子なんかも食べ終わってませんが、嫌いなおかずだけを残す子がチラホラいます。アレルギーのある子は事前に親御さんに聞いてあるので、宿の方も献立を考えてくれてますが、嫌いなものまでは考慮しておりません。トマトが嫌いな子、キュウリが苦手な子、そもそも生野菜がダメな子などなど、ある特定のおかずだけを残してタイムアップを狙う輩もいたりします。
が、そうは問屋が卸しません。監督・コーチが睨みを利かせて再三再四食べきるように促します。中には泣きながら食べる偉い子もいます。たいていの場合は食わず嫌いが多く、食べようと思えば食べられるのです。それでもどうしても食べられない選手は上級生にこっそり頼んで食べてもらっていたりもします。それも大人は見て見ぬフリをしておきます。それで選手たちの結束力が高まるならば安いもんです。
そんなやり取りもあるので、結局なんだかんだ言って食事が終わるまでに1時間近くかかってしまいました。ですがこれも織り込み済み。
食事が終わったらお風呂です。この宿の風呂は温泉になってますので身体が温まります。すでに7月も下旬だというのに、ここの最高気温は23℃でした。明日の朝は17℃までに気温が下がるとの予報。しっかりと身体を湯船に浸して、練習の疲れを取るようにとアドバイスします。
お風呂は女子は女風呂、男子は班ごとに男風呂へ向かいます。風呂を終えた選手から今度は洗濯です。去年までは宿の洗濯機は昔懐かしい二層式の洗濯機だったのですが、今年から全自動洗濯機に変わってました。選手各自が今日の練習で着た練習着を洗濯ネットに入れ、4〜5人分をいっぺんに洗濯・脱水します。洗濯ネットに入れるのは誰の洗濯物なのか区別するためですね。
洗濯物を干すのも全部選手たちが行います。
普段からお母さんの手伝いをしてる子は比較的スムーズに作業しますが、初めて洗濯する選手なんかはソックスが丸まったまま洗ってそのまま干してたりもして、なかなか微笑ましい光景が目の前に展開されます。
汚れが落ちてなかろうが、明日の朝までに乾かなかろうが監督・コーチは一切口を出しません。一回くらい失敗したってイイんです。失敗して初めて学ぶこともあるんです。去年の二層式洗濯機の時なんかは脱水を忘れる選手もいて、朝までに乾かなかったことなんてザラでしたし。
洗濯物を干し終えた選手たちは部屋に戻って日記を書きます。風呂の順番待ちをしている間もこの日記を書く時間になってます。班員全員が日記を書き終わったら、班長である6年生が集めてコーチに渡します。これがだいたい夜の9時半頃のこと。ここから班長会議が始まります。会議と言っても、各班の部屋の様子(荷物はキチンと整理されているか、布団は人数分敷いてあるか、などなど)や選手たちの動向などを班長がキチンと把握しているか確認する程度です。
そして、夜10時に消灯。選手たちは布団に包まって眠りにつきます。
大人たちのミッション
ここからは大人たちの時間。先ほど回収した日記を酒の肴に宴会が始まります。たんまりと夕食を食べたのに、ここからビールや焼酎を飲むんです。まだまだ夜は長いです。トホホ。
日記にはその日にあった出来事を何でも書いていいんです。たいていの選手は練習の内容とその感想だったり、その日に出来なかったことを明日頑張るとか書いてます。中には昼の弁当のおかずがコロッケで夜はハンバーグで美味しかったとか、サッカー以外のことしか書かない選手もいたりします。字が汚くて読めなかったり、漢字や送り仮名が間違ってたりして、なかなか個性のある文章に仕上がってます。笑わずに読むのが大変です。
もちろんですが真面目な話し合いもします。今日の班対抗のリーグ戦ではあの選手の動きが良かったとか、あの選手は頑張っていたなど、監督や各コーチの目線で見た選手たちの様子を共有するのです。
夏休みの間は公式戦はないのですが、9月に入ったらすぐに市の公式戦が組まれています。その時にどの選手を先発レギュラーとして使うか、下の学年から飛び級させてるとか、そんな話もします。トップチームの6年生が引退するのは来年3月ですが、11月頃には新人戦があり5年生を中心とした次期トップチームを組まなければなりませんし。ホントに子供たちトップ共有する時間は経つのが早いです。
なんだかんだで午前0時を過ぎた頃、そろそろ大人たちもうつらうつらしてくる頃合で、宴会はいったんお開きになりますが、この後に重要なミッションが待っています。
それは、選手たちの各部屋の見回りです。
特に今年は気温が低いので、窓を全開にして寝ていないかだとか、ちゃんと布団を掛けているかなどの様子を見に行かなければならないのですが、最大のミッションはオネショをしていないか確認することだったりします。
布団の中に手を突っ込んで、敷布団やズボンが濡れていないか、全選手の状態を手分けしてチェックします。万が一オネショをしていた選手がいた場合には、選手の荷物からパンツやズボンを取り出し、気がつかないうちに着替えさせます。もちろん布団もシーツも大人数人がかりで素早く取り替えます。何事もなかったようにするのです。全てを無に帰すのです。オネショをした選手はイジメの格好の的になってしまう恐れがありますので。
当たり前の話ですが、子供たちはそれぞれで成長の度合いが違います。身体の大きい子もいれば小さい子もいます。足の早い子もいれば遅い子もいます。ご飯をたくさん食べる子もいれば食べられない子もいます。オネショを卒業した子もいれば未だにオネショをしてしまう子がいたりもするのです。それらは全て選手たちの個性。そこをあげつらって責めたりしたらいけないのです。
今回はたまたまオネショをした選手がいませんでしたので、事なきを得ました。
こうして夏合宿初日は終了となりました。
去年ホームシックで寝られなくなった選手も今年は6年生の班長として自分の部屋で寝るようになりました。やはり見た目はそんなに変わっていなくとも、子供たちはそれぞれ成長しているもんなんですね。
という事で、この話は2日目へと続きます。
ってなことで、今回はここまでっ!
(おわり)
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