こんなことをまだ公表されていない段階でブログに書いて全世界に発信するのはルール違反なのかも知れない。
が、ボクにとっては青天の霹靂。
何の前触れもなく訪れた衝撃だったので、ここにその時の気持ちや思ったことも含めて、事実として記録しておこうと思う。
ボクには、これと言って自慢できるようなスキルや輝かしい経歴なんてものはない。
どこにでもいる46歳のふつうのおっさん。それ以上でもそれ以下でもない。
誰にでもできる普通のことしかしていないし、そもそも最初から他人と違ったことなんか出来るわけがない。
だいたいちゃんと専門の勉強をしたわけでもないし、とある筋の特殊な訓練を受けたことなんかないんだから、それほど難しいことなんか出来るわけがないじゃない。
そもそも才能の欠片もないもんなぁ。
最初に黒髪ロングヘアーのスーッとしたスレンダー系お姉さまに、手取り足取り組んずほぐれつ何から何まで教えてもらっていたら、もっと違ったんだろうけど。って、そんな恵まれた環境なんてあるわけがない。
なんせ周りはおっさんだらけだったし。今や立派な正真正銘のおっさんであるボクが言うのもなんなんだけど。
そもそも、自分がなりたいものなんて最初からなかったし、なりたくて今のような立ち位置にいるわけでもない。
周りの人たちがそうするから、同じように振る舞っているだけ。
周りの人たちがそう言うから、今こうして言われたとおりのことをしているだけ。
ふつうの人が当たり前と思うような人生を、当たり前ように過ごして生きてきただけ。
最初からボクには「自分」というものがあまりなかったんじゃないだろうか?
「やれ」と言われたからやってはいるが、言われたからにはそれを究めてやろうとか、誰からも一目を置かれるような頂きを目指してやろうとか、そんな気概なんてどこかに売っているのなら教えて欲しいくらい。
「とりあえずやっておきましたけど、まだまだですね。えぇ、だって仕方ないじゃない。そもそもそんなことをボクに頼むあなたに、人を見る目がないんですから。」
そんな言い訳を常に用意してことに当たっていた、そんな気がする。
一応人並みに努力はしてみる。せっかく頼まれたんだからふつうにやって、なるべくなら怒られずに終わらしたいと思うじゃない。
でも、それも長くは続かない。何度も繰り返し努力するなんて無理無理〜。なんせこちとら「人生50年」まであと数年しか残ってないポンコツなもんでね、さーせん。
まぁ、そんな諦念だらけで定年に向かって一直線野郎に、少しでも期待を掛けてくれるんだから嬉しくもあるんだが、その期待になかなか応えられない自分にはつくづく嫌気がさす。
いつかは「ボクが一番ガンダムを上手く使えるんだ、一番、一番上手く使えるんだ......。」って言ってみたかったけど、そんな日は一向に訪れる気配はない。
心の中では申し訳ないと思いつつも、逆手に取って「そんなに責めないでくれませんか」と逆ギレ気味になってしまいそうにもなる。
だってこれは、ボクが自分から望んでやりたかったことではないんだもの。
でも、「やれ」と言われて、なんの抵抗も示さずにやって、上手く出来なくて、それを自分以外のせいだと責任転嫁しているだけなんだよね。
上手くできないのは、ボク自身のせいだってこと、ホントは解ってるんだけど。
いっそのことボクに対する大いなる野望もささやかなる希望も、他人が勝手に見ることは全面的に禁止したい。
ボクがボク自身に勝手に期待するのはオッケーなんだけどね。だって妄想するだけで実行に移すことはないから、誰にも気づかれないし、誰にも迷惑かけないじゃない。
だって、そんな淡い期待を抱いたって、木っ端みじんに打ち砕かれるのが人生なんだ。
ボクはもう少し、あと少しだけでもいいから、この居心地の良い場所でゆっくりしていたかっただけなんだ。
そんな想いは、ある日突然、無情にも破られることになった。
疲れ切った心と身体を何とか奮い立たせて、帰宅して風呂につかり、晩飯を食べて束の間の休息を取っていたボクに、突然のメールが届いた。
いや、正確には「届いていた」というのが正しい。メールの着信時刻は帰宅した直後。それに気づかなかったのは、帰宅してすぐに残り少ないiPhoneのバッテリーに気づき、充電したまま放置していたからだ。
食事を済ませてタバコを1本吸い終えた後に、リビングの定位置、テレビの前の床暖が効いたカーペットの上に横になりながら、何気にiPhoneの充電状況を確認しようと手に取った。その時にメール着信のメッセージに気づいたのだが、着信からはすでに1時間半が経過していた。
それは上司からのメールだった。
急ぎの用件なら電話をしてくるだろう。メールなんだからそれほど大した用事ではないのかな?
気づけなかった自分の愚かさを忘れるように、誰にともなく言い訳じみた思いをつぶやきながら着信したメールを開封してみる。
すると、そこには意外なメッセージが書かれていた。
「もし時間があるならば、飲みながら話でもしませんか?」
「えっ、今から?」というのが最初の感想。次に「何の話だ?」という疑問と同時に、「まだ間に合うかな?」という焦りが生じる。
風呂に入って晩飯も済ませているので、すでにいつでも寝られる状態にあるし、何よりも腹いっぱいでこれから飲みに出るような気分ではないのは確か。だからこのままメールには気づかなかったことにして、朝までやり過ごすという手はある。
だが、ちょっと......いや、かなり気になるのも事実。
「まだ間に合うか?」と思った時点で結論は決まっていたも同然。すぐにボクは返信メールを送信した。
結局、その15分後に馴染みの居酒屋で落ち合うことにして、適当な私服に着替えて出掛けることにした。
もちろんカミさんは不機嫌。子供らも「えっ?お父さんまた出掛けるの?」と父親の珍しい行動に興味津々の様子。
ひとまずこの場を取り繕うために子供らを連れて近くのコンビニまで行き、ボクはタバコを、子供らには食後のデザートとしてアイスを買ってやることにした。
コンビニから居酒屋まで走って向かったのに、少しばかり遅かったようだ。
すでに先客は窓際のテーブルでタバコを吸いながらスマートフォンをいじって暇をもてあましていた。
「遅くなってすみません。」
ところどころ息が切れることにも構わずに、まずはとにかく詫びを入れる。メールに気づくことに対しても店に来ることに対しても「遅くなってすみません」というダブルの意味であることに気づいてくれるだろうか?いや、無理だな。
心の底から申し訳ないと思ったのは、遅れたことに対してではなく、まだ何も注文をしていないことが判った時だった。目の前にはグラスに入った水しか置かれていない。わざわざボクの到着を待っていてくれていたのか、はたまた大事な話があるからまだ酒が入っていないのか?
ボクが席に着くとすぐに
「急に悪かったね。とりあえず焼酎のボトルがあるから、それでいいかな?」
と妙に優しい口調。やっぱり何かあるんだなと思わずにはいられない。
店員さんが名前の入った焼酎のボトルと氷とソーダ、それにレモンを用意してくれる。もちろんいつもの「焼酎のソーダ割りレモン添え」を作るのはボク。手早く2人分のそれを作って、まずは乾杯。
すると、やっぱりな、という話がいきなり始まる。
呼び出した理由っていうのは、今後のボクの処遇というか、身の振り方の話だったのだ。
来年度、つまり4月からの組織の体制の話から始まる。
面白いもので、ボク以外の人たちがどう異動するのかっていう噂話は意外と耳に入ってくるのだが、ボク自身の異動の話ってのはほとんど入ってこない。
人事は「ひとごと」とも読むことが出来るが、まさにそのとおり他人事なんだ。自分のことだけは最後まで判らないもんなのだ。
初めて聞く人事構想に耳を傾けながら、ついでに焼酎が濃いグラスも傾けつつ、そこから3時間、話は続いた。
店員さんが「もういい加減に帰ってくれ」と言いたげに店内の照明を少しずつ消し始める午前0時近くまで、ボクはツマミにはほとんど手を触れず、ただひたすら焼酎のソーダ割りレモン添えを何杯も飲み続けた。
翌朝5時半に起きたボクは、食パンをトースターにセットしながらインスタントコーヒーを淹れて、二日酔い気味の身体に鞭を打つ。
珍しくカミさんが早めに起きてきて、朝の挨拶もそこそこに
「で、昨日の夜の話は何だったの?」
と聞いてくる。
たぶんカミさんもかなり気になっていたのだろう。そりゃそうか。
ボクの異動の話はボクだけでなく家族にも大きな影響を及ぼすことになるから、それも仕方のないこと。
「うん、異動の話だったよ。」
「......異動?」
遅かれ早かれこうなることはカミさんなりにも判っていたはずだろうに、少し意外そうな声。
「そう。ボクがね、今度の4月で異動になるんだってさ。」
「それで?あなたはどうするの?」
「どうするもこうするも、事情が事情だし、ボク個人の意思よりも組織が優先されるのはどこに属していても逃れられないだろ?」
「そうかもしれないけれど、あなたにその気がなかったら......。」
それもそうだ。オファーを受けるからには、いやいやではなく、ボク自身がその気にならないと全てが上手く回り始めることも出来やしないだろう。カミさんの言うことももっともだ。
「......うーん、もちろん大変だとは思うよ。でも、嬉しいじゃない。こんな46歳のおっさんにそこまで期待してくれているんだから。」
そう、ボクは昨晩この話を聞いた瞬間から、いや、メールに返信して遅れてでも会って話を聞くことを決めた時から、全てを受け入れるつもりだったんだ。
「また少し苦労を掛けるかもしれないけど、やるつもりだよ。」
「本当に、大丈夫なの?」
ボクを気遣ってくれているのか、それとも家族と過ごす時間がますます減ってしまうことを気にしているのか。そんなことを聞く勇気はないけれど、ボクは決めたんだ。
「まだ下の子もいるし、自分ひとり我が儘言ってられないからね。それに、この歳で新しいことにチャレンジできるんだもの。こんな嬉しいことはないよ。」
ララァ、ボクにはまだ帰れる場所があるんだ.......
と続けたい衝動を何とか堪えて、ボクはボク自身の決意をカミさんに素直に伝えた。
「でも、資格が必要なんじゃないの?それを取りに行く時間とか、勉強する時間とか、そんなことしてる暇はあるの?」
「大丈夫さ。サッカー四級審判員の時だって、スポーツ少年団認定員の時だって、何とか合格できたし。それに、この2年間で経験した積み重ねもあるから。」
もちろん今までよりも難しい立場になることは解っている。今後は他人様のお子さんを預かって、彼ら彼女らのモチベーションを高く保ちつつ、技術的にも肉体的にもレベルアップさせることが第一義的な目的になる。
もう遠慮する必要なんてない。その代わりと言っては何だが、それなりの責任を取らねばならない立場になるのだから、少し気が重いのも確か。
でも、曲がりなりにもボクは会社では管理職。そちらでの経験はゆうに10年近くもあるから、コーチングってのも多少は理解しているつもりだ。
ただ、アプローチの仕方がだいぶ異なるとは思うので、やっぱり勉強は必要だ、よな?。
.......ん?
「話が見えない?」ですって?
だから、「ボクが4月に異動する話」をしているんですよ。
つまり、
ボクの子供らが所属しているサッカー少年団の総監督から呼び出されて、審判部から指導部への異動をオファーされた
っていう話ですって。
そう、サッカーの審判やってるお父さんは卒業して、サッカー少年団のコーチになるってな話です。
えっ?「転勤するんじゃないのか?」って?
いや、仕事は今まで通りだし、地方に飛ばされるようなヘマはまだしてませんよ、今のところ。何なんですか、突然藪から棒に。
そんなことよりも、この話はまだ内緒ですよ。内示されただけで、正式に資格を取ったワケでもないし、他の親御さんたちはまだ知らないんですから。←そんじゃあ、ここに書くなよ。
ということで、これからますます忙しくなりそうです。
通勤電車の中でブログを書くなんていう非生産的な行為に時間を費やすことが出来なくなる恐れが出てきましたので、いち早く皆さんには言い訳しとこうかと思いまして、こんな話をさせていただきました。
とりあえず今は、この本を読み返しているところ。
コーチングの本を読むのなんて何年ぶりかしら。これを如何に噛み砕いて子供向けバージョンにして理解するか、だな。←そうか?
ってなことで、今回はここまでっ!
(おわり)
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