真☆煩悩の赴くままに: 616:【ネタバレ注意】半沢くんと斉藤さん...の巻〜ドラマ『半沢直樹』が冒した失敗とは?〜
ボクの同期である半沢くんにもあえてダメ出し!いや、ドラマの制作スタッフに対する叱咤激励だとポジティブに捉えて読んで下さい。
半沢くん(ドラマ限定)というキャラがダメなところ
前回は半沢くんのダメ出しに終始してしまいましたが、それもこれも斉藤さんの存在があったればこそ、なんです。
どちらの主人公も信念を貫く正義感に溢れる人物なんですが、その意味合いが微妙に異なるのは銀行員と専業主婦という立場のせいかも知れません。
半沢くんは、一見すると銀行内部の不正を暴き、巨悪を倒した英雄と見れなくもないですが、結局、産業中央銀行と東京第一銀行の融和策を進めようとしている中野渡頭取の判断で出向させられてしまいました。
このストーリー展開は、言わば必然。
業界は違えどボクもサラリーマンなんで言わせていただきますと、半沢くんみたいな人はまず出世コースからは外れるパターンが多いんじゃないかと思うんですよね。
うん、すでに出世コースから外れてるボクが言うんだから間違いないっ!!( ー`дー´)キリッ
ボクと同じで正論ばかり吐く青臭さが半沢くんのウリなのかもしれませんが、原作本ではそれでもシックリくるんですけど、ドラマのその青臭さの原因は単なる私怨になってしまってますからね。そりゃあ、会社もたまったもんじゃないですよね。
物分りのイイふりをするつもりはないんですが、所詮サラリーマンなんて大きな組織の一員なんで、あそこまで大見得切って大立ち回りしちゃうと、疎ましく思う輩が多数出てくるのは間違いない、と思うんですよ。
あんな半沢くんみたいなのを部下に持ったらいろんな意味で大変ですし、上司だったらウザいですし。
組織においては、半沢くんは正義を大上段に構えた偏り過ぎな存在になってしまうので、ああいう結末になってしまっても仕方がないだろうなぁ......なんて思ってしまったりするんですよ。
しかもちゃんとした正義漢かと思ったら、父の仇討ち目的での大立ち回りなもんですから、数少ない味方らしき上司や同期の連中を欺いていることにもなりかねない。
それじゃあダメだよ、半沢くん。キミの行動には目を見張るものがあるものの、その行動原理を知ってしまったら、誠意の微塵も感じられなくなってしまうよ。
原作では感じなかったドラマの中の半沢直樹というキャラクターに対する違和感が、やはりどうしても拭えません。
ボクも上司に楯突く事を生き甲斐としていた時期が少なからずあった(それも30代まで)ので、余計に半沢くんの生き方が不器用すぎるって事が理解できてしまうんですな。
あんなのは、所詮はドラマの中の夢物語でしかあり得ないなんて。
また、敵対する小物脇役の複数の人物から色々な情報を収集するのも半沢くんの得意とするところではありますが、時に探偵まがい、時にはチンピラかヤクザか?なんて場面ばかりで、とてもスマートなメガバンクのエリート銀行員らしからぬ言動・行動も目につきましたね。
あれが銀行員の実態とも思えませんよねぇ?
ボクは銀行員じゃないんで、本当のところはどうだか知りませんけど。
半沢くんのやってることは、ほとんどが恫喝か脅迫でしたから、とてもとても褒められたもんではありません。
いくら口角鋭い理論派であったとしても、結局最後は相手を不利な立場へと追い込み、首根っこを締め上げたり、重要な機密書類をくすねたりしてますんで、「正義を貫くためならば、手段なんか選ばなくてもイイんです!」って言ってるようなもんじゃない。
しかもドラマでは、その振りかざす正義が終始一貫して父親を自殺に追い込んだ銀行とその主要人物に対する恨みつらみになっちゃってますから、いくら世間で評判になってるからといっても、とてもじゃないけど子供たちには観せられませんわ、これじゃ。
実際には結構観てましたけどね、ウチの子供たちも。
やはり、原作のようなキチンとしたキャラクターでないと......。
いや、半沢くんについてはこの辺にしておきましょう。
斉藤さんというキャラのステキなところ
かたや斉藤さんについても分析してみたいと思います。
斎藤さんはある意味、半沢くんよりも強烈なキャラクターでして、最初からママ友連中から疎まれる存在です。
不良高校生や街のチンピラからも小うるさいババァ扱いで、基本的にはその言動なり行動は間違ってないんですけど、物の言い方が不器用で周囲の誤解を招きやすいのが玉に瑕。
味方らしき登場人物は皆無、の状態からスタートします。
そんな最初は取っ付きづらい斎藤さんなんですが、周囲の人たちも徐々にその存在意義に気づき始め、最終的には周囲を巻き込み、ほぼ全てからの同意を得るところが救いがあるっていうんですね。見てて納得する部分が多く、リアリティが感じられるんです。
モンスターペアレントとかPTAでブリブリ息巻いてお高く止まってやがるオバちゃんをギャフンと言わせるところは半沢くんに通ずるところがあるんですが、最後はそんな連中も納得づくで斉藤さんと仲良くなるところに安心感が持てるというか、あぁ良かったなぁって思える。そんな後味の良さが残るんですな。
しかも今回のセカンド・シーズンは、それまで正しかったはずの斉藤さんも過ちを犯すという人間らしさも醸し出しておりました。
子供たち(小学4年生)が間違った方向に行かないように親が見てて上げないといけないとか教えて上げなきゃいけないとか、斉藤さんも「親だから大人だからと常に上から目線で相対する」行為をしてしまいがちなんですが、このセカンド・シーズンから斉藤さんの相棒的立場になった桐谷美玲演じるマヤから「そういうのは間違ってる」と指摘されるんですね。
斉藤さんが相手をしているのは小学4年生の子供たちなんで、まだ大人扱いするにはちと早いかな?と思わなくもないんですが、それでも「なるほどなぁ〜、いつまでも子供扱いしてないで、一人の人間として向き合わなきゃいけないんだなぁ」と思わせる部分がある。
ファースト・シーズン(子供たちはまだ幼稚園児)と対比して、子供たちも成長してるという時間軸の経過を上手く利用した納得感がある結末になってました。
決して恫喝したり脅迫したりすることなく、相手(子供だったりその親だったり)を説得して、相手も斉藤さんの意図を理解して、最終的にはお互いが理解しあう......なんてのはまさにドラマの世界の中だけの話かもしれないんですが、なんとなくですが、なんとなく観終わった後の心持ちが爽やかなんですよねぇ。
ボクが絶賛する斉藤さんも、ほぼパターンが決まり切った展開でしたので、続編はたぶん期待できないでしょう。視聴率的にもどうなのかな?という気がしないでもないし。
ちょっと残念ではありますが、今回も存分に楽しませていただきました。
さてさて、10月から新しいクールが始まりますが、今回はやはり堺雅人主演の『リーガル・ハイ』の第二弾に注目せざるを得ませんね。半沢くんなど比較対象にもならないくらいぶっ飛んだキャラクターである弁護士が活躍する長ゼリフたっぷりのドラマになると思います。
出来れば見逃すことのない土日にやって欲しかったんですが、録画予約して深夜に観ることにしましょうか。10月の定期異動の歓送迎会やら年末の忘年会シーズンと丸被りのこの時期ですんで、確実に見逃してしまう自信だけはありますんでね。
『安堂ロイド』は......初回を拝見してから判断することに致しますっ!
ってなことで、今回はここまでっ!
(おわり)
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